Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident


Draft document: Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident
Submitted by 櫻井 朋広, 原発を考える町田の会
Commenting on behalf of the organisation

ICRP「大規模原子力事故後の放射線防護」勧告草案へのコメント:

 今回の勧告案では、原発事故等の「緊急時」対応を「復旧時」と明確に区別、目標とすべき「最適化」放射線レベルを(年間)1mSvと
して徐々に低減させて行く事等を述べている。
 
その中には以下の問題点がある。 
●(l)では、住民の被ばくコントロールに「個人線量計が不可欠」としているが。バッジなどの個人線量計は、素人では携帯忘れや、位置
などの条件が不統一となりがちで、同地域でも各個人の線量のばらつきが激しい。あくまでデータは参考程度にとどめ、平均化などせずに
最も安全な方向にシフトした対策とするべきだ。

●(h)では、緊急時の管理作業などに従事する者を「対応者」と呼称し、(i)では100mSv以上の被爆も許容されうるとの記述がある。これに
「市民ボランティア」も含まれると読めるが、どうなのか。そもそも被爆とは避けなければ生命を縮める深刻な事で、「対応者」の呼称よ
りは「特攻者」の方がふさわしい。仮に「特攻者」が必要でも、放射能の危険を十分に理解した専門の一部に限るべきで一般市民を含める
事があってはならない。

●(d)では、放射性ヨウ素の取り込みを防ぐためにモニタリングが必要、としている。しかしその他の核種について記載が無い。原発事故で
同様に大量排出されたセシウム類(Cs134,Cs137)やプルトニウムなど、他にも体内に取り込まれたなら被爆の危険を伴うものは多いのでは
ないか。より広く放射性物質取り込みを監視する必要がある。

●(n)では「放射性防護は必要な対策の1つ」にすぎない、としているが。放射線の影響は細胞内の遺伝子に作用し、長期間さらには次世
代に渡って生命を脅かす深刻な物である。それ以外の原発事故対策を軽んじてはいけない、というならわかるが。放射能対策を軽視してい
ると取られかねない言い方は問題がある。たとえば「原爆投下は爆撃のひとつにすぎない」と云ったならどうか。放射能被害の特殊性を重
視しない表現は慎むべきでないか。

○また「付属書B」に関して、(B.4.6)では、甲状腺がんの発生に関して「放射能の影響である可能性は低い」としているが、その確証と
なる根拠が示せるのか。福島県内のみでも甲状腺がんと診断された患者が230名を越えている現在、それが自然発生と断定されれば患者への
救済は断たれてしまう。原因が放射能以外と言う確証が得られない限り、「放射能の可能性が無いとは言えない」と記すべきではないか。

○そもそも「最適化」放射線レベル1mSvとは、自然放射線レベルの2倍量で、数万人に1人程度のガン患者発生リスクを許容すべしとした
もの。リスク低減が目的であれば、目標とは本来その地域の自然放射線レベルとするべきではないか。


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